管理部門歴20年の視点で解説する 三世代のお金管理

親の配当は申告したほうが得?分離課税と総合課税の考え方

はじめに

親の証券口座を整理していると、必ず出てくるのが「配当金」です。

そして次に出てくる疑問がこれです。

この配当って、確定申告したほうが得なんでしょうか?

結論から言うと――
人によります。毎年違います。

今回は、実務目線で整理します。


1.そもそも配当は申告しなくてもいい?

上場株式の配当金は、証券会社で

  • 所得税 15.315%
  • 住民税 5%

がすでに天引きされています。

これを「源泉徴収あり特定口座」といいます。

この場合、原則として申告しなくても完結しています。

だから多くの親世代は、

「申告は不要だと思っている」

という状態になります。


2.それでも申告すると何が変わるのか?

配当には2つの課税方法があります。

① 申告分離課税

  • 税率は 20.315%固定
  • 他の所得とは分けて計算
  • 配当控除なし
  • 譲渡損失と通算可能

② 総合課税

  • 給与や年金と合算
  • 税率は累進税率
  • 配当控除あり(※REITなど対象外な株はあります)
  • 住民税との関係に注意

ここで迷います。

総合課税のほうが得って聞いたけど本当?


3.総合課税が有利になりやすいケース

一般的に、

  • 課税所得が330万円以下
  • 所得税率10%以下

の人は総合課税が有利になりやすいです。

なぜなら、

配当控除(10%)があるため
実質税率がかなり下がるからです。

ただし、ここに落とし穴があります。


4.実務でよくある見落としポイント

✔ REITは配当控除の対象外

✔ 外国税額控除との関係

✔ 譲渡損失繰越がある場合

✔ 住民税の扱い(申告不要制度)

つまり、

「総合課税=得」と単純に言えないのです。

実際に比較すると、

  • 分離のほうが有利な年
  • 総合のほうが有利な年

が普通にあります。


5.親世代で多いパターン

親世代は次のような状況が多いです。

  • 年金+少額配当
  • 特定口座で自動源泉
  • 住民税は特別徴収
  • 税率は10%ゾーン

この場合、

✔ 数千円単位の差
✔ 手間とのバランス
✔ 翌年の住民税影響

まで含めて判断する必要があります。


6.判断の考え方(実務的整理)

私はいつも、次の順番で考えます。

① まず申告分離で試算
② 次に総合課税で試算
③ 還付額だけでなく住民税も確認

そして、大切なのは

「どちらが一般的に得か」ではなく、
自分の条件で一度は比較してみること

です。


7.毎年同じでいいの?

ここが重要です。

配当額
年金額
譲渡損益
外国税額

が変われば、最適解も変わります。

だから、

毎年一度は比較する

これが安全です。


まとめ

親の配当は、

  • 申告しなくても問題ない
  • でも申告したほうが有利な場合もある
  • ただし条件次第

大切なのは、

「なんとなく総合が得らしい」

ではなく、

自分の数字で比較すること。

これが親のお金整理の基本です。


※実際に総合課税と申告分離を比較した具体的なケースは、別記事で詳しく整理します。


▼ 親のお金整理シリーズ設計図はこちら

親のお金を体系的に整理したい方は、設計図ページをご覧ください。
順番に読むことで、全体像がつかめる構造になっています。

▶ 親のお金整理は何から始める?(シリーズ設計図)

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