親の確定申告を手伝っていると、
「いくらまでなら税金はかからないのか?」と聞かれることがあります。
制度の説明はあっても、
具体的な金額ラインまで整理された情報は多くありません。
本記事では、75歳・年金110万円のモデルケースをもとに、
税金が発生する境界線を整理します。
今回のモデルケース
佐藤さん(75歳・無職)
・名古屋市在住
・年金収入 110万円
・配当は特定口座(源泉徴収あり)
・他の所得控除なし(基礎控除のみ)
※令和7年改正後の基礎控除(最大95万円)を前提に計算します。
75歳以上の場合、公的年金等控除は110万円です。
年金収入110万円
→ 公的年金等控除110万円
→ 年金所得 0円
つまり今回のケースでは、
配当がそのまま合計所得になります。
配当を総合課税にした場合のラインを見ていきます。
① 配当43万円以下(完全非課税)
住民税の基礎控除は43万円です。
配当が43万円以下であれば、
・所得税ゼロ
・住民税ゼロ
となります。
特定口座で源泉徴収されている税額は、
全額還付対象です。
例:配当20万円
20万円 × 20.315% = 約40,630円
→ 約4万円が還付されます。
② 配当43万円超〜95万円以下(住民税のみ発生)
所得税の基礎控除は最大95万円です。
配当が43万円を超えると住民税は発生しますが、
95万円以下であれば所得税は発生しません。
・所得税ゼロ
・住民税のみ発生
・源泉徴収された所得税分は全額還付
実務上は、
還付額と住民税増加分を比較して判断することになります。
③ 配当95万円超(所得税も発生)
配当が95万円を超えると、
・所得税発生
・住民税発生
この場合、源泉徴収税額と実際の税額との差額が還付されます。
非課税ラインの整理(佐藤さんの場合)
| 配当額 | 所得税 | 住民税 | 還付 |
|---|---|---|---|
| ~43万円 | 0円 | 0円 | 全額還付 |
| 43万超~95万円 | 0円 | 発生 | 全額還付(所得税分) |
| 95万円超 | 発生 | 発生 | 一部還付 |
還付の考え方
特定口座(源泉徴収あり)の配当は、
約20.315%があらかじめ差し引かれています。
確定申告で総合課税を選択すると、
所得税がゼロの場合はその分が還付されます。
ただし、
・住民税の増加
・後期高齢者医療保険料への影響
も考慮する必要があります。
実務では、
還付額と増加する負担のバランスで判断します。
この金額ラインは佐藤さんの場合です
今回の計算は、
・基礎控除のみ
・社会保険料控除なし
・医療費控除なし
・扶養控除なし
という前提です。
これらの控除がある場合、
非課税ラインはさらに上がります。
※令和7年改正前(基礎控除48万円)の場合は、
非課税ラインが異なります。
過去分を遡って申告する場合は、適用年度で再計算が必要です。
配当を総合課税にするかどうかの判断軸は、別記事で整理しています。